日本最大の海事都市、今治。
恣意的なクリエイションでこの敷地に対抗するのではなく、
この景観に逆らうことなく、素直に建築を溶け込ませたい。
この敷地からの雄大な眺望に初めて対峙した時、
私の直感は確かな声でささやいた。
朧気に脳裏に浮かんだ建築の姿は
毅然と地に足の着いた姿でこの場所に佇む
丘の上に浮かぶ舟のようだった。
シンプルで美しい切妻屋根を敷地にそっと掛ける。
素直な架構ゆえ、構造と内部空間は
無理のなく導かれるように決まっていった。
海、森、橋。
大きな景観と呼応するには、
建築の骨格は純粋でなくてはならない。