Taichi Nishishita
Architect & Associates
Blog

なぜ庭が必要か?

2017.09.14

造園工事が始まっています。少し緑が入るだけで建築が纏う空気感が格段に良くなります。建築の持つ強い「線」が植栽によって曖昧に溶けていく様は心が踊ります。建築の存在感をよりヒューマンなものに近づけていくために造園は欠かせないものだと痛感します。

お昼休みには造園屋さんを食事に誘い、色々と語り合うことができました。私の「なぜ庭が必要か?」という問いに対して、彼が言うには「庭はお世話をしてあげなければならず、その行為自体が暮らしのゆとりであり、豊かさである」と。

「便利さ」や「機能」がもてはやされ、「豊かさ」が失われつつある今の世の中において、こういう感性を大切にしたいと改めて痛感します。

左官工事

2017.08.23

「稲荷の家」の左官工事が始まっています。写真は土壁の下地で、仕上げは漆喰を掻落します。この家一軒の左官工事の中で何百ℓもの水を使うようです。建築は「防水」が基本ですが、左官壁によって水分が内包されることで、豊かさが増すように思います。やはり人の暮らしの本質的な豊かさには火、水、緑、木材などの「自然のもの」と「人の手仕事」は欠かせないものです。それはいくら洗練された「便利で機能的な」設備機器でも得ることはできません。

夜には左官職人の皆さんとお酒を酌み交わし、熱く語り合うことが出来ました。志高く仕事をされている方のお話というのは心に響きます。職人の皆さんと建築士・建主がそうやって心を響かせ合って、良い建築は生まれていくはずです。

2016.12.18

白い背景に白い絵の具で塗られた一本のライン。とてもきれいです。

デザイナー原研哉氏の「白」という名著がありますが、もう一度復習しておかなければと思います。「白」は色ではなく概念だという発想です。「白」を極めることができれば、デザインは格段に良くなっていくはずです。

要望の本質

2016.09.20

考えさせられる文章に出会いました。以下、引用です。

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客 「掃除機がほしい」
店員「どんな掃除機がほしいですか?機能は?価格は?」

このガイド方法は悪い例だ。「掃除機が欲しい」と漠然と考えている人(ニーズ)に、機能や価格といったウォンツ要素を質問しても、かみ合わない。

客 「掃除機を買いたい」
店員「部屋の広さは? 床の素材は?」

利用シーンを訪問者に想像してもらい、機種を絞り込んでいく方法がニーズをウォンツにするための大切な手法だ、と解説した。
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設計においても正に同じことだと思います。〇LKDで個室は〇畳、仕上は設備は・・・と建主に答えを求めるようなやり方はプロのすることではないと思います。

例えば建主さんが「8畳の子供部屋が欲しい」と言っても、それを鵜呑みにするのではなく、「なぜ8畳欲しいと言っているのか」を考える必要があると思います。丁寧にヒアリングしてみると必ずしも8畳である必要はなかったりする場合がままあります。

要望の本質に目を向けることの大切さに気付かされる文章でした。