Taichi Nishishita
Architect & Associates
Blog

「目的」と「手段」

2024.10.16

クライアントと設計要望の整理をするなかで、
普段から思うこと。
要望の中には、建築で解決すべきことと、
建築で解決しなくても設備(家電)で
解決できることがある。

例えば、
洗濯干し場という専用の場所って、
よっぽどオシャレ着ばかりな人でない限り
今の時代は基本もう必要ないと思う。

ぼくのクライアントも「干し場は要りません」って人の方が圧倒的に多い。

干し場にお金かけるくらいなら、
一番高級な乾燥機付き洗濯機(又は乾太くん)を買ったほうが良い。
それでも十分にお釣りが帰ってくる。

もちろん干すことそのものが好きな人には
全力で干し場を設計します!
そういうところに暮らしの愉しみを感じる方もいて。
それはそれで素敵なことだと思っています。

干し場の件のようにクライアントから何か課題を
投げかけられた時、
「それはそもそも建築で解決するのがベストか?」
というところまで立ち返って考えるようにしています。

写真を通して建築を観察すること

2024.07.12

5月から7月にかけて、今年の竣工写真撮影が終わりました。

建築写真の撮影は、刻一刻と変わる空間と光の関係や
建築の魅力を引き出せる撮影の構図を
現場で臨機応変に対応しながら把握しなければならない。

毎回、撮影をお願いしているカメラマンさんから
学ぶことがとても多い。

カメラマンさんの写真が出来上がるまで、
僕なりの目でみて撮影した写真をアップしています。
是非ご覧ください。

品質ってなんだろう?

2024.02.23

僕の家づくりにおいて、
自然素材である木材や樹木、
人の手仕事である左官や鍛鉄など、
無くてはならないものです。

それらに対しての「品質」について、
僕なりの考え取り留めもなく綴ります。

庭と建築|造園工事の様子

2023.11.30

少し前のことですが、9月にお引き渡しした物件の造園工事を行いました。

このお家では、南向きのデッキの際に樹木を植えることにしました。建築に寄り添うように植えることで、硬い建築の輪郭が和らぎ、風景となって溶け込んで見えます。

樹を見て、樹を考えるのではなく、樹を植えることでできる「関係性」に想いを巡らせて毎回設計しています。

プレゼンテーション

2023.09.25

先月の打合せにて。一緒に土地から探し回ったお客さんに、設計のご提案を聞いていただきました。プレゼンはハッキリと伝えたいことが伝わるように、美しく簡潔に。敷地で僕が感じ取ったことや考えたこと、そして計画の要点と建物の骨格を、ビジュアルで伝えます。

要望を叶えるよりも大切なこと

2023.09.15

刹那に沸きおこる欲望を野放しにしない。

自分の欲望を思い通りに叶えるよりも、もっと大きくて本質的な魅力に向き合い、それらに身を委ねる方がきっと素敵な建築になると信じているから。。。

土地探し

2023.09.05

設計依頼を前提として下さる方を対象に、土地探しのお手伝いをお受けすることがあります。

8月は土地から相談が立て続けにあり、いろんな敷地へ車を走らせていました。

僕が土地を見つけることもあれば、お客さん自身が見つけてこられた土地を一緒に見に行くことも。

絵を描くということ

2023.07.31

先日の新築オフィスの設計のプレゼンにて。僕たちはいつもお客さんに、図面+模型+パースで提案の説明をさせていただいています。

模型はレーザーカッターで、パースは手描きで。

パースは、毎回プレゼン用にスタッフさんが描いてくれるものをチェックバックしています。今回はチェックバックというより、良いと思う点をコメントしました。

奈良・慈光院

2023.06.12

先日、京都での物件の打合せがあり、関西へ出張に行ってきました。出張の機会があると、大阪・兵庫・奈良・京都…と、各県の行きたい場所へ足を運びます。今回訪れた場所の一つ、奈良の「慈光院」。

参道、書院、本堂…と一連に体験していくと、住宅のような小さな居心地の良さを感じつつも、寺院としての秩序や清閑さを感じ取ることができます。

ビンテージ

2020.05.19

ふと目をやると窓枠に数字?明らかに娘が落書きした字だ。いつのまに。。。

自分も小1の時だったかに新居ができて、親を喜ばせたくて、壁にクレヨンで絵を描いてしまったのを思い出します。

子は親に似るんだなぁ。

「綺麗とは傷跡がないことじゃ無い。傷さえ愛しいという奇跡だ。」
Official髭男dism|ビンテージ(歌詞より引用)

このまま残しておこう。

意志は持ちながら、不確かさを受け入れる

2019.08.29

うず高く積まれた原板の中から選木。今回は奄美大島の琉球松。自分自身で木の重みを感じ、汗を流して、素材と向き合い、墨付けをします。偶然にも材木屋の家系に生まれ、このような機会に恵まれていることに感謝。

選ぶとは言え、結局は製材してみないとどのような木目が生まれるかは分からない。しかしその不確かさこそ美しさだと思う。デザインの意図も大切だが、自然の不確かさを受け入れ、一期一会の出会いに感謝することも大切。

現代の建築はともすれば「なんでもできる」という感覚に陥りがちだ。あらゆる設備や技術を持って、自然を捻じ曲げることもできるかもしれないが、そこにはどうしても不自然さが付きまとう。

完璧な家は幸せな家か?

2019.07.31

仮に建て主の希望通りの完璧な土地があり、建て主のすべてのリクエストを盛り込んだ欠点のない家ができたとします。果たして、この家は本当に豊かな家になるでしょうか。

設計事務所を開設した初期の頃、僕はこれに近い体験をしたことがあります。建て主の希望と思いを全面的に取り入れ、まさに「希望通りの住まいが実現した」と思われた家がありました。しかし建て主は、あろうことか「自分の思ったように作ってもらって何も言う事はないが、どうもピンとこない」と言うのです。建て主の要望に沿って忠実に設計した家だったにもかかわらず、どうしてそのように感じられたのでしょうか。